一人とじっくり向き合うことの面白さに気づいたから

東洋大学 ライフデザイン学部 生活支援学科 生活支援学専攻 介護福祉士コース 4年 大学生

酒部 源太

相撲一筋の自分が、福祉の道に惹かれた理由。人と向き合う強さを求めて

キャリア

酒部 源太

2022年 東洋大学 ライフデザイン学部 生活支援学科 生活支援学専攻 介護福祉士コース 入学 ※東洋大学の学部等改組により、2023年度入学生以降は、福祉社会デザイン学部 社会福祉学科 介護福祉士コース となっています。

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#なにゆえ私が福祉職を目指すのか

東洋大学の体育会相撲部に所属し、ライフデザイン学部(現在の福祉社会デザイン学部)で福祉・介護を学ぶ酒部源太さん。大学入学当初は、「自分に福祉が向いているのか」と不安を抱えていました。

しかし、施設での実習や訪問介護での経験を通じて、利用者とじっくり向き合う楽しさ、支えることのやりがいを実感。迷いながらも一歩ずつ学びを重ねた彼の大学生活から、福祉の仕事の魅力と、学生だからこそ感じられる等身大の気づきが見えてきました。

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スポーツ推薦の進路選択で見つけた、福祉・介護の道

小学生のとき、地元で開催された「わんぱく相撲大会」に参加したことがきっかけで、小中高、そして今も相撲を続けています。今は東洋大学の体育会相撲部に所属し、ライフデザイン学部で社会福祉・介護を学んでいます。

この学部を選んだきっかけは、高校3年生の進路選択のときのことでした。進路決定の時期が迫るなかで、「自分は何に興味があるんだろう」と改めて考えたものの、すぐには答えが出てこなかったんですね。
当時、有難いことに東洋大学から「運動部優秀選手推薦入試」での出願のお話(いわゆる「スポーツ推薦」)をいただいていましたが、どの学部に進むかを決められず、悩む日々が続いていました。高校時代は相撲でインターハイに出場をしていたことからスポーツ系の学部に進むことも考えましたが、“競技者として”ではなく、選手をケアする立場のほうに興味があり、より迷いが深まってしまっていたんです。

そんなとき、看護師の母が病院から高齢者施設へ転職をしたことを思い出しました。思い返せば、子どもの頃から祖父母の家に遊びに行くことも多く、そこで漠然と「高齢者福祉」に興味を持ち始めました。そのことを母に話すと、「きつい仕事だけど、やりがいはあるよ」「自分で決めたなら、とことんやりなさい」と背中を押してくれて。さらに、相撲部のコーチにも相談したところ「挑戦してみな」と励まされ、ライフデザイン学部に進むことを決めました。

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驚きと同時に、「向いていないかも」と感じた実習の現場

東洋大学のライフデザイン学部(現在の福祉社会デザイン学部)には、介護福祉士コースが設置され、障害のある方や高齢者、児童など、社会福祉を基盤に、座学と実践的な実習を通して介護を学び、介護福祉士国家試験の受験資格を取得することができます。さらに、このコースに所属して所定の科目を履修すれば、社会福祉士の受験資格も同時に取得することができます。
入学後に、大学の教授などの勧めもあって、介護福祉士と社会福祉士の2つの資格を取るための勉強をすることに決めました。
でも、正直に言うと、入学当初は「介護」がどういうものなのか、あまり分かっていませんでした。祖父母も元気でしたし、施設に入居している人や福祉サービスを利用している人が周りにおらず、どんな世界なんだろうと。漠然とした興味で進学したため、よく言われる「きつい仕事」「給与が安い」というイメージも、少なからず持っていました。

座学で、福祉・介護の基本を学び、サービスの種類や施設の違いなどを理解したうえで臨んだ初めての介護福祉士コースの実習。まだ1年生だったこともあり、そのときの衝撃はいまでも覚えています。授業で「認知症の症状がある方は、話がループする」と学んでいたのですが、実際にコミュニケーションを取ってみると、どれだけ話題を変えても、最終的に同じ話に戻るんですよね。それを実際に体感して、「ほんとうだ」「まじか」と驚きました。認知症の症状がある方だけでなく、病気ごとの特性も実感し、今まで知らなかった新しい世界に触れた感覚でした。ただ一方で、「やっぱりしんどい仕事だな」とも感じたのも事実です。実習先の職員の方々が忙しさから疲弊している様子や、忙しさに追われて大変そうな仕事であることも実感し、「自分には向いていないかもしれない」と思っていました。

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一人とじっくり向き合うことの面白さに気づいた夏

そんな印象がガラッと変わったのは、大学3年生の夏。仲の良い友人と一緒に、栃木県の山間部にある知的障がい者支援施設へ実習に行ったことが転機になりました。この実習は、社会福祉士の資格取得に必要な長期の実習で、夏休みの約1ヶ月間、泊まり込みで実習を行うため部活動や実家への帰省などを諦めなければならず、最初はあまり気乗りしていなかったんです。

ところが実際に行ってみると、職員の方々がとてもフレンドリーに迎えてくださって。体格の大きな僕を見て「大きいね」「ご飯は遠慮しないでね」と声をかけてくださったり、すぐに馴染める雰囲気を作ってくれたりしたんです。施設には重度の知的障害のある方が入所しており、障害者のみなさんも自分のことをすぐに覚えてくれて、とてもうれしかった記憶があります。実習では、職員の方に指導や助言を受けながら、レクリエーションの企画・実施や身体介助、食事介助などさまざまな実践を経験しました。
特に印象に残っているのは、入所したばかりの方の個別支援計画(包括的なケアプラン)の立案を任されたことです。入所したてで職員の方もまだ情報が少ない中で、まずは「どんな方なのか」を知るところから始めました。言葉でのコミュニケーションが難しい方だったため、表情や仕草を観察しながら少しずつ理解を深めていきましたね。徐々に「このときは落ち着いている」「これは苦手そうだな」といったサインが分かるようになってきたんです。長い時間をかけて向き合い、彼女の個性や食事・排泄のタイミング、彼女が出すサインなどを細かくまとめ、アセスメントで悩みながら、個別支援計画を作り上げました。それを職員の方に見てもらったとき「よくできているね」と言っていただき、一人の方にじっくり向き合う対人援助のやりがいを感じました。この経験を通して、施設の種別ごとに利用者との関わり方や雰囲気に違いがあることを知り、僕自身は「一人ひとりとじっくり向き合う」ことに魅力を感じるタイプなんだと気づきました。

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訪問介護で、「自分らしい暮らし」を支えたい

その後、4年生になってすぐ、介護福祉士の実習で都内の訪問介護事業所へ行き、2週間以上の実習を経験しました。そこでは、施設と在宅での生活の違いや地域での暮らしの幅広さを体感しました。
訪問介護の利用者さんは、ひとりひとり住環境や生活リズムがまったく異なります。実際にご自宅に伺うなかで、「自分らしい暮らし」を支えることの大切さを実感。常に異なる環境に入る面白さと、一人の利用者さんにじっくり向き合えるやりがいを実感し、卒業後は訪問介護事業所へ就職することを決めました。2026年4月にはホームヘルパーとして社会人のスタートを切ります。
今後はその現場で経験を積みながら、将来的にはケアマネジャーとして利用者さんの暮らしの包括的な支援や相談援助にも携わりたいと考えています。

大学4年間の学びを通して感じた福祉・介護の魅力は、幅広い人とのコミュニケーション能力が身につくことです。そして、その技術の裏付けとなる学問的根拠を理解できるようになることです。言葉での意思疎通はもちろん、なかには言葉ではなく表情や仕草、行動で相手とコミュニケーションをとらなければならない場合もあります。自分の想定を押し付けず、「こう思っているんじゃないか」「これをしたいんじゃないか」と想像力を働かせて丁寧に向き合うプロセスは、難しさもありますが、僕にとってはとても面白いものです。
科学的根拠を踏まえながら自分の想像力を使って介護する、ということなのだろうと思います。これが介護の大きな魅力だと思います。

僕の根底には、「人が好き」という気持ちがあるんですよね。それは幼い頃から相撲に取り組み、それを多くの人に教えてもらったり、活躍を見てもらったりしたことに影響されているのかもしれません。
人が好きだからこそ、人の難しさとも向き合える。そうしたいろんな“面白さ”や“楽しさ”が福祉・介護にはあります。また、介護職に限らず、行政機関で活躍できることや福祉用具の開発、一般企業での高齢者向けの製品やサービスの企画など、多様な関わりがあることも、この分野の面白さの一つだと感じています。

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良いケアを、次の世代へ。

東京YMCA医療福祉専門学校 介護福祉科  介護福祉士養成学校 学科長

品川 智則

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